非常識な司法試験合格法則

司法試験合格のための勉強の仕方について解説

司法試験で百選の勉強が必要な科目、不要な科目

司法試験の勉強において判例の学習はどの科目も重要です。

判例の学習素材として受験生に定番なのは有斐閣判例百選です。これを持っていないというのは話になりませんが、学習の重要度は各科目で大きく異なります。

そこで、今回は司法試験主要7科目のうち百選の勉強が必要な科目とそうでもない科目を分類してみました。

百選の勉強が必要な科目

百選の勉強が必要かつ重要な科目は、刑事訴訟法、商法(会社法)、民法です。

刑事訴訟法

刑事訴訟法百選の勉強は司法試験に必須です。刑事訴訟法の百選は百選の各科目の中でも解説のできが素晴らしく、試験にそのまま使える記述や知識があふれています。裁判官等の実務家が多数書いているのも特徴ですね。他の科目ももっと実務家が書けばいいと思うんですが。刑事訴訟法は基本書よりも百選を勉強の中心に添えるとよいです。旧版の解説も十分使えるので買い替えても捨てずにとっておきましょう。

判例ごとに論証や重要ポイントをまとめて、何度も繰り返し読むと効果的です。

商法(会社法

会社法は万能な基本書がなく、勉強素材に悩む科目です。基本書や演習書で詳細な判例の解説がなされているものもありません。その中で判例学習をするにはどうしても百選が重要になってくるでしょう。解説も他の科目よりはマシな方じゃないでしょうか。

商法の試験では新しい判例が比較的重要になってくるので、定番の基本判例のほか、平成20年以降の判例は特にチェックしておくべきです。また、旧版掲載判例で新版で消えちゃった判例の中にも重要なものがあるので、差分をコピーするなどして保存しておきましょう。

民法

民法判例知識については、基本書や短答の勉強の際に得た知識でほぼ論文は解けます。それ以上詳しくとなると、判例百選よりも最高裁判例解説を読んだ方がいいと思います。

それでも民本の判例教材は特に他に優れたものもありませんし、百選をベースにしておけばよいでしょう。他にいい教材がないという消極的な理由でこちら側に分類しました。通読とかは不要です。3巻の親族・相続は別になくてもいいかな。

百選の勉強が不要な科目

百選の勉強が不要あるいはあまり重要ではない科目は、刑法、民訴法、憲法行政法です。

刑法

刑法は判例学習が重要です。判例をしっかり押さえておけば論文も楽勝でしょう。ところが、刑法の百選はびっくりするくらい使えません。解説を読むとむしろ混乱するのではないでしょうか。刑法のような体系が重要な科目で、たくさんの執筆者で解説を書くというのがそもそも無理です。

刑法の判例学習素材としては前田の重判か判例刑法総論・各論を使うのがよいと思います。前田の基本書が嫌いな人でも、この重判は使えるので食わず嫌いせずに使ってください。頻出の重要判例については最高裁判例解説も読んでおくと万全です。

民事訴訟

民事訴訟法の判例学習は民法同様基本書や演習書に載ってるレベルで十分戦えます。百選自体もあまりできがいいともいえないので、あえて百選まで読む必要性は乏しいでしょうね。各論点の判例をしっかり勉強したいのであれば、解析や高橋重点講義を熟読する方が百選を読むよりはるかに効果があります。

憲法

憲法判例学習が重要ですが、百選に関しては刑法同様解説がさっぱり使えません。まともに読んでたらかえって混乱してしまうでしょう。憲法はなるべく事案と判旨がたくさん載ってる教材が望ましいので、有斐閣憲法判例を使うかロースクールの授業等で使ったものを使えるようにまとめておくのがよいでしょう。

行政法

行政法の百選もいまいちです。行政法判例学習については行政法判例ノートが定番なのでこちらを使って、新しい判例など足りない部分を百選や重判で補充するのがよいと思います。

どの科目も重判3年分は必須

百選学習が重要でない科目でも重判は読んでおきましょう。使っている判例教材に載ってない最新の判例を知るためです。直近3年分を読んでおけばとりあえずは十分だと思います。