非常識な司法試験合格法則

司法試験合格のための勉強の仕方について解説

刑事訴訟法の基本書-2018年版

刑事訴訟法は判例百選をベースに勉強するのが基本ですが、基本書もやはり読む必要はあります。

今回は刑事訴訟法のメジャーな基本書を紹介します。1冊決め打ちにしてそれだけを読むというよりは、ベースの1冊は持ちつつも、理解が不十分なところはいろんな基本書にあたって知識や理解を補充するのがよいと思います。

それにしても刑事訴訟法の学者は「裕」という名前が多いですね。

リーガルクエスト刑事訴訟法

基本書として定番の地位を確立しつつあるのがリーガルクエストシリーズです。わかりやすさには定評があります。判例もしっかり勉強できる構成で、判例学習が重要な刑事訴訟法の基本書としては優秀です。また、コラムで個々の要件について深堀されており、基本事項の理解をするのに役立ちます。

共著であることが気になる人もいると思いますが、最初の1冊や初学者にはお勧めです。使用者も多いので、迷っているならこれにしておけば間違いありません。

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*判例の引用やコラムが充実しており勉強に最適!

刑事訴訟法(池田修、前田雅英)

受験生にはあまり人気がないようですが、個人的にはお勧めの1冊です。基本的に判例をベースに書かれており、受験生を混乱させるようなわけのわからない記載がほとんどありません。内容的にも司法試験の範囲は網羅されており、基本書はこれをベースにするのがおすすめです。

初学者向け。

刑事訴訟法入門

若手エース学者の緑先生の基本書です。法学セミナーの連載がベースになっています。基礎的な事項で当然理解していなければならないことではあるものの、基本書には詳しく書かれていないことを詳細に解説しています。勉強したての人には何を言っているのか理解できない事項もあるかもしれませんが、予備校的な思考から抜け出して一歩上を目指すためには越えなければならない壁です。本来は、この部分の解説はロースクールの講師陣の役目なのですが、ロースクールの講師陣がいまいちという人には必読の1冊となるでしょう。

網羅性は低いので、基本書をより理解するためのサブの1冊として持っておくとよいです。入門というタイトルながら中級者向け。

緑先生のツイッターは受験生ならフォローしておくべきでしょう。

MIDORI Daisuke (@midoridisc) | Twitter

刑事訴訟法(酒巻匡)

 

法学教室連載時代、受験生から絶大な支持を受けていた酒巻先生。私も酒巻先生の連載は何十回と読みました。そんな、酒巻先生の待望の基本書がこの1冊。刑訴法の趣旨・目的からの明快な理論構成は受験生の刑訴法の理解に多いに役立ちます。

これ1冊として使うよりは、サブに置いといて興味がある論点を読む使い方があっています。中級者向け。

刑事訴訟法(上口裕)

一時期わかりやすいと流行った基本書です。基礎から丁寧に書かれているので刑訴法の理解には役立ちます。ただ、他方でわかりにくいとの声もあり、賛否は両論です。今は緑先生の刑事訴訟法入門や酒巻先生の基本書もあるので、従来の基本書の行間を補充する役目は終えたのではないでしょうか。初学者・中級者向け。

刑事訴訟法講義案(司法協会)

裁判所書記官向けに書かれた本ですが基本書としても使えます。判例ベースで書かれており内容は実務的です。あまり基礎から丁寧には書かれておらず捜査もちょっと薄いので、初学者がいきなりこれで勉強するのは難しいかもしれません。

薄いので、刑訴法を一通り勉強した人がサラっと確認するように読むには良いでしょう。中級者向け。 

 

 

刑事訴訟法(田口守一)

旧試験時代の定番の基本書です。刑訴法の各事項をまとめるには便利な1冊ですが、今の試験傾向からすると、これで論文を書くのはちょっと難しいかなという感想です。用途としては知識の整理には使えます。

初学者向け。

刑事訴訟法(田宮裕)

田口刑訴と並び、旧試験時代の定番の基本書です。古すぎてもはや基本書として使っている受験生はいないかもしれません。刑訴の道に進みたいなら読んでおく必要はあるでしょう。初学者向け。

条解刑事訴訟法

基本書ではありませんが、1冊持っていると大変便利です。ちょっと高いので、必要なところだけ図書館でコピーしてもよいでしょう。