司法試験対策に使える民法物権の基本書を紹介します。とりあえず物権部分のみで担保物権はまた別途紹介します。
1.民法の基礎2-物権(佐久間毅)
現在の受験生の定番は佐久間先生の基本書です。総則と物権は佐久間先生の基本書でほぼ決まりです。
判例や基礎概念についてしっかり掘り下げられているので、これ一冊で司法試験の論文を十分戦えます。
もっとも、試験対策とのかねあいでは頻出論点が綺麗に整理されているとはいえないので、初学者が読むと少し混乱するところもあるかもしれません。対抗要件のところは総則や債権各論の理解が進んでいないとチンプンカンプンになってしまう人もいるでしょう。
まずは予備校本や論点集などで論点の確認をしてから読み進めると理解がぐっと広まると思います。
2.民法概論2-物権(川井健)
現在の流行りは上記佐久間本ですが、流行りにこだわらず、かつ担保物権も1冊で済ませてしまいたい人は川井先生の基本書がおすすめです。もうお亡くなりになられているので最近の受験生の知名度は低いかもしれませんが、我妻先生最後の弟子で記述内容は伝統的な通説ベースで安心できます。
基本的にシンプルに議論が整理されており、読んでいて迷いが生じることが少ないです。物権はあまり深みに入らず淡々と暗記してしまった方がいい部分も多いので、シンプルな川井先生の基本書はおすすめできます。担保物権も載っていてコンパクトなので最初の1冊にもおすすめです。
3.民法Ⅰ-総則・物権総論(内田貴)
物権を薄い基本書でサクッと勉強するなら内田民法で十分です。判例の事案ベースなので初学者の読みやすさ学習のしやすさでは群を抜いていると思います。
ロースクールの指定教科書が内田民法であれば、素直に内田民法をベースに勉強してしまえばよいでしょう。
4.基本書の読み込みよりも早期に問題演習を!
物権総論はある程度出題パターンが決まっています。1個1個の要件を深堀していくというよりは、条文や論点を落とさずに守れるかというところが得点の差に現れる分野でしょう。論文の答案を書くのに必要な知識的なものは短答の過去問演習でも十分身に付きます。
ですので、あまり基本書の読み込みには時間をかけずに早期に旧試や本試験の過去問を使って問題演習に入ってしまうのが試験対策としては有効です。
基本書選びに迷ったら現状佐久間本を買っておけば間違いありません。