非常識な司法試験合格法則

司法試験合格のための勉強の仕方について解説

今年司法試験に落ちた受験生に伝えたいこと

9月11日、司法試験の合格発表がありました。

合格した人はおめでとうございます。これから概ねこれまでとは違った華々しい生活があなた方をお待ちしています。「概ね」と言ったのは何事にも例外があるからです。

さて、残念ながら今年は不合格だった人、お悔やみ申し上げます。自分的には誰にも負けないくらい勉強を頑張ったのに落ちてしまった人、正直舐めてかかって受かるはずもなく落ちてしまった人、いろいろな敗因があると思います。

しかし、来年も受験する予定なら落ち込んでいる暇はありません。来年の試験までもう8ヶ月しか残っていないんです。すぐに勉強に着手してください。

ところで、ここで全然関係ない話に話題を変えます。

陸上選手のタカノリは100m走の代表枠を狙っています。年齢は20代後半、自己ベストは10.20秒です。最近は20代前半の若手選手が10.0秒台を頻繁に出すようになってきており、10代の最若手選手も台頭してくるようになってきました。代表に選ばれるには最低でも10.1秒台を選考会で記録しなければなりません。

今年の選考会、タカノリの記録は、10.28秒で代表には選ばれませんでした。

タカノリは来年こそは代表に選ばれるよう決意しました。

さて、みなさんもタカノリが来年こそは代表に選ばれる方策を考えてあげてください。

タカノリはみなさんに相談しました。

「自己ベストは10.20秒で、10.1秒台まであとちょっとなんだから、今の練習を地道に継続すれば来年こそはタイムが縮まるはずですよね?」

タカノリのこの意見について、みなさんはどう思いますか?

当然無理ですよね。

タカノリは既に20代後半、選手として肉体のピークを終えています。同じような練習を続けてもタイムは縮まるどころか落ちていく一方です。

タカノリはみなさんに相談しました。

「先日の代表選手の壮行会で今年惜しいタイムでダメだった選手の友人がたくさんできました。気の合う彼らと情報交換や練習会を開き切磋琢磨すれば頑張れると思うんです。」

タカノリのこの意見について、みなさんはどう思いますか?

何を言っているんだこいつは?って感じですよね。

ダメな選手同士が集まったって、烏合の衆や傷の舐めあいにしかなりません。最悪、賭博や買春騒動に巻き込まれて選手生命まで失います。

では、みなさんだったらタカノリにどうアドバイスしますか?

タカノリはまず、代表選手や結果を出しているコーチに頭を下げて教えを請いに行くべきです。

精一杯頑張ったにも関わらず、結果を出せなかったのは今のやり方では駄目だということです。成功する方法を知っているのは成功者だけ、結果を出せなかった人たちがいくら集まっても解決策は生み出されません。

彼らのアドバイスを受けることができれば、タカノリは自分の精一杯がいかに甘かったを痛感することができます。

代表選手と自分のギャップがわかったら、次に練習の質を変えなければなりません。肉体や精神の基礎能力は年々落ちていきます。同じ練習で成果が出るわけがありません。

タカノリは恥をしのんで、代表選手に教えを請いに行き、有益なアドバイスを受け、一層質の高い練習に励むようになりました。

では、みなさん。生まれ変わったタカノリは来年代表選手になれると思いますか?

結構厳しいんじゃないか?ってのが正直なところですよね。

スポーツのトップ層はそれくらい厳しい世界です。

また、タカノリは怪我をしてしまうかもしれませんし、選手を続けるだけの資金がつきてしまうかもしれません。子供が生まれて養うために働かなきゃいけなくなるかもしれません。家族が病気になったり、親の介護が必要になったりして練習どころではなくなるかもしれません。20代後半以降ってそんなことが起こりうる年代です。

それでも自分を変えて努力した者のみに代表の資格を得るチャンスが与えられます。

では、話を司法試験に戻します。

今年司法試験に落ちた人たちの境遇ってタカノリとほとんど同じだと思いませんか?

「今年いい線行けたからもう少し頑張れば来年こそは!」なんて甘いこと考えてませんか?

「合格者に無様な自分の再現答案を見せるのは恥ずかしい」なんてプライドだけ高くなっていませんか?

もう20代中盤過ぎたら、記憶力は落ちます。知的な体力も落ちます。これまでと同じだけの勉強をすることすらも難しくなってきます。

司法試験は本番長丁場の1発勝負です。優秀な人でも当日のコンディションが悪ければ落ちます。そんな勝負を1回目受験の若手に対し、年齢というハンデを負って受けるわけです。簡単ではありません。

周りの同級生は結果を出せなかった人達だけが残り、下からは優秀で勉強盛りな若手がわんさかわいてきます。

司法試験受験生はみんな受験エリートです。小中高とちょっと人より頑張って結果を出してきました。だからこそ、ちょっと頑張れば自分はできると自分の能力を過大に評価しがちです。

司法試験、簡単になったとはいえ受験エリートの東大生ですらずっと受からない人がいるような試験です。スポーツのトップ層ほどの厳しさはありませんが、甘くはありません。それなりに才能も必要です。

1回目でサクッと受かれない時点で天賦の才がないことは明確です。どんなに頑張っても駄目かもしれません。年老いた親から働いてくれと言われるかもしれません。子供ができるかもしれません。

それでも恥を忍んで先人に教えを請い、リスクを負って人より努力した者だけに合格は訪れます。

来年こそは合格の栄光を手に入れてください。