非常識な司法試験合格法則

司法試験合格のための勉強の仕方について解説

司法試験は過去問に始まり過去問に終わる

司法試験に一発で受かっていない人たちの話を聞くと十中八九過去問ができていない。特に短答試験の過去問はできていても、論文の過去問が全然できていない受験生が多い。過去問と全く同じ問題をやらせてみても、全然合格点が取れないのだ。これでは受からないのも当然である。

司法試験では、論文の過去問に対して試験委員から詳細な出題趣旨・採点実感が発表されている。これらは要するに試験委員が「こう書けば合格するよ。」と教えてくれているものであり、このような制度は他の国家試験ではあまりみられない特殊なものである。

採点者からのこのようなプレゼント付の過去問は勉強素材としては最上のものであり、最も優先順位が高いものである。とりわけ論文試験は点の取りどころを理解しないことには、なかなか高得点がつかないので、試験委員の意見が詰まった過去問の勉強は必須である。しかも既に現行司法試験開始から10年以上が経過しており、過去問の素材も十分に集まっている。

にもかかわらず、それなりに多くの受験生が過去問集すら持っていない事態が散見される。本当に受かる気があるのだろうかと疑問に思わざるをえない。他方で学者の書いたよくわからない事例問題集は大事に手に持っているという道化ぶりである。

逆に一発で受かるような受験生は、ほぼ例外なく過去問をつぶしている。所詮10年分程度であるのでつぶすというほどの量もないが、合格可能性の高い受験生に過去問をやらせれば、きちんと出題趣旨・採点実感のポイントを押さえた論述ができる。過去問は点の取り方だけでなく、論点も十分網羅されてきたので、通常の勉強素材にも有効である。論点不足が不安であれば平成以降の旧試験過去問をやればいい。

過去問に手をつけない多くの受験生の言い訳は、過去問は難しいからというものであろう。しかし、いくら基礎練習をしていても、本番形式の練習をしなければ試合に勝つことはできない。難しい、すなわち今の自分にはできないからこそ過去問をやらなければならないのである。でなければいつまで経ってもできるようにはならない。

過去問の勉強素材は、毎年辰巳から出版される論文過去問答案パーフェクト分析本を使用するのがよい。解説等が格別優れているわけでもないが、出題趣旨・採点実感・合格再現答案が掲載されており、利便性は高い。ときどき過去問集を高いといって買わないバカがいるが、1年合格が遅れることの機会損失は1000万円以上であることを忘れてはならない。