非常識な司法試験合格法則

司法試験合格のための勉強の仕方について解説

島田・小林「事例から刑法を考える第3版」法学教室ライブラリ

司法試験の論文刑法対策の教材は判例と過去問がベストである。基本的に司法試験の過去問は判例を知っていれば解ける問題がほとんどであり、判例百選や最新重要判例250 刑法 第10版掲載の判例・裁判例についてすべての事例の解答を作成できるようにしておけば、刑法で落ちることはまずない。個人的にお勧めの判例集は後者の最新重要判例250 刑法 第10版である。補助的に判例刑法総論 第6版を使えば完璧だろう。

司法試験対策としては過去問と判例以外のいい素材はあまりないが、受験生の定番としてよく用いられているのは事例から刑法を考える 第3版 (法学教室ライブラリィ)である。

僕は本書については司法試験合格後に趣味として第1版から第3版まで読了している。

基本的に司法試験対策に作られた書籍であり、解説中にも「ひとつの考え方」として答案作成の骨子(答案構成)は示されているので使い勝手はよく独学にも向いている。事例を学ぶ中で頻出の最高裁判例にも数多く触れられるのも魅力的だ。過去問・判例集以外のもう一冊として本書を使うのはいい選択である。問題の難易度自体はさほど高くはないが、解説の難易度は比較的高いので、論点や基本判例の学習が済んでいない初学者がいきなり使うと混乱するおそれがある点には注意が必要だ。

第3版改訂中に著者の島田聡一郎教授が若くして逝去されており、第3版は同教授の遺作となる。

第3版の改訂ポイントは次の3点である。

  1. 事例の解き方を解説した事例0の追加
  2. コラムの独立化
  3. 論点表の追加

事例0は正直あってもなくてもどちらでもよいレベルだろう。論点表の追加は、復習の便宜にはよいと思われる。

使用受験生が多い教材なので、他の受験生に書き負けないという意味でも、過去問と判例以外の事例演習書としては本書を買っておけば間違いないだろう。各論点については、本書で1から学ぶというよりは、各自の基本書等で基本を学んだ上で本書は補助的に使うのがおすすめである。